福彩支援

裁判の歩み

第1回口頭弁論、傍聴席満席の さいたま地裁101号法廷でスタート。 次回期日は9/24(水)に

福島原発事故で故郷を追われ、埼玉に避難された被災者6 世帯16 名が国と東電を相手に提訴した損害賠償請求訴訟「福島原発さいたま訴訟」の、第一回口頭弁論が、6 月18 日、さいたま地裁(脇 由紀裁判長)で行われました。

開廷前から傍聴券を求める長い列が出来、満席の傍聴者が注視するなか、まず原告の意見陳述が行われました。原告男性は「今回の原発事故によって,私たちは,何気ない日常を一瞬にして滅茶苦茶にされました。もう,どうやっても元通りにはなりません。国や東電は,どう責任を取ってくれるのでしょうか。」「国も東電も,避難者の大変な被害について,きちんと責任を認めてほしいです。そして,一旦事故が起きたら,こんなにひどい事になってしまうのだと,真剣に反省するべきです。私は,現在も避難生活を強制されて,それに対して国や東電が十分に責任を取っていないことが,悔しくて仕方ありません。」と、静かな口調のなかに強い憤りをこめて語られました。 (さらに…)

第2準備書面・第3準備書面提出報告

平成26年7月23日、弁護団は第2準備書面、第3準備書面を提出しました。

弁護団がこれまで提出した書面は、訴状と第1準備書面です。
これらの書面は、平成26年6月18日の第1回口頭弁論期日で陳述しました。
第1準備書面は、被告国に対して詳細な認否をするよう求める書面でした。

今回提出した書面は、第2準備書面と第3準備書面です。
第2準備書面は、サブタイトルが「民法709条と原賠法3条1項の関係について」となっています。

民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」として一般的な不法行為責任について規定しています。

一方、原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)3条1項は「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えた時は、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責に任ずる」と規定して、原子力事業者の責任を規定しています。

これらの規定について、東京電力は、原賠法3条1項によって民法709条の適用が排除されるとして、賠償責任の審理は、民法709条の要件である東京電力の過失の有無について行う必要はなく、損害の有無や金額に関する部分に集中すべきであると主張しています。
これは、原発事故発生について東京電力にどのような過失があったのか、という議論を避けるための戦略に他なりません。

これに対して弁護団は、民法709条と原賠法3条1項の関係を詳細に検討し、原賠法3条1項は民法709条の適用を排除しないこと、そして、本件においては東京電力の過失の種類や程度を審理の対象としなければならない理由を主張しました。

第3準備書面のサブタイトルは「被告国の求釈明に対する回答」です。

福島第一原発を設置・運営しているのは直接には東京電力です。しかし、本件訴訟では、原子力事業の監督権限を有する国が、東京電力に対して必要な監督をしていれば本件事故は起こらなかったはずであるとして国にも事故の責任があると主張しています。

国は、弁護団の主張に対して、どのような場合に監督権限を行使しなかったことが違法となるのか、過去の最高裁判例に即した主張をするよう、求めてきました。

そこで、過去の最高裁判例を検討・分析し、判例理論から導かれる国の責任の判断方法について、詳細な回答をしました。

第1回期日報告

平成26年6月18日午後2時から、さいたま地方裁判所101号法廷にて原発事故損害賠償請求埼玉訴訟の第1回口頭弁論が行われました。

101号法廷の傍聴席は、記者席を除いて33席あったのですが、これに対して50人以上の傍聴希望者が集まりました。傍聴希望の皆様は、傍聴券の配布を受けるために開廷の30分以上前から並んでくださいました。
お忙しい中、本当にありがとうございました。

また、残念ながら傍聴席に入ることができなかった方には、弁護士会館に移動して頂き、同じ時間に法廷でどのような手続が行われているかを説明させていただきました。
次回以降も、傍聴席に入ることができなかった方に法廷での手続の内容をお伝えする機会を設けたいと思います。

今回傍聴席に入られた方もそうでない方も、次回以降も傍聴に来ていただければ、大変有り難いです。

さて、法廷ではまず、弁護団の「訴状」の陳述と被告らの「答弁書」の陳述を行いました。訴状と答弁書は、事前に裁判所と双方当事者に提出されていますので、「陳述」といっても書面の内容を読み上げるわけではなく、「陳述します」と述べるだけです。
すべての書面を朗読していては時間が足りないので、民事訴訟では、ほとんどの場合はこのように書面をやり取りします。

とはいえ、傍聴席の方からしてみれば、書面をやり取りしているだけでは、何をしているのかさっぱりわかりません。
また、私たちとしては、裁判所や国や東京電力に、きちんと口で言って伝えたいこともあります。
そこで、原告本人と原告代理人から「意見陳述」をしました。これは「陳述します」と述べるだけでなく、主張の内容を実際に読み上げる形で行いました。

まず、原告ご本人1名が、国や東京電力に対する思いや避難生活の困難さを訴えました。
傍聴席の方にも、裁判所にも、原告の生の声を届けることができたと思います。
その後、代理人より、本訴訟の目的が原発事故被害の完全賠償にあること、原発事故発生の責任が国と東京電力にあることを述べました。
また、原告の訴状に対して、国がきちんと認否を行っていないから、国は誠実に認否をすべきであるということも述べました。

原告側の意見陳述の後、次回期日までに準備する主張や書面の確認をしました。
法廷にいた方はご覧になったと思いますが、国は、書面を提出することにとても消極的でした。
自分の手の内を明かさず原告側の言質を取ろうとするかのような態度は不誠実であるばかりか、いたずらに審理期間を延ばすことになるとして、弁護団からは国も書面を提出するよう強く求めました。

その結果、国は次回までに、原告の訴状に対する詳細な認否を行う書面を提出することになりました。
また、弁護団からも、国から説明を求められている点についての回答と、東京電力の主張に対する反論の書面を提出することになりました。
そして、次回期日は、平成26年9月24日午後3時からと決まりました。第1回と同じ、さいたま地方裁判所101号法廷で行います。

裁判所での期日終了後、埼玉弁護士会会館にて、裁判の報告集会と、「福島原発さいたま訴訟を支援する会」の結成集会が行われました。

期日に引き続き、皆様お疲れにもかかわらず、80人近い方にご参加いただきました。駆けつけてくれた方の中には、他の地域の原発事故訴訟の支援をしている会の方もいらっしゃいました。
また、埼玉の弁護団と共同歩調をとっている山形、新潟、群馬の弁護団から駆けつけてきた弁護士からも、応援のメッセージをいただきました。

たくさんの方に応援をいただき、原告ご本人もとても心強く感じたことと思います。
そして、応援してくださる方がいらっしゃるという事実は、未だ悩みを抱えつつも、訴訟に踏み出すことを迷っている被害者の方にとっても、きっと大きな勇気づけとなると思います。

次回期日は、平成26年9月24日午後3時からです。
今後とも、原告団にご支援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

「福島原発さいたま訴訟」 第一回口頭弁論報告(2014/6/18)

「福島原発さいたま訴訟」 第一回口頭弁論報告

挨拶する北浦恵美・福島原発さいたま訴訟を支援する会代表

福島原発事故で故郷を追われ、埼玉に避難された被災者6世帯16名が国と東電を相手に提訴した損害賠償請求訴訟「福島原発さいたま訴訟」の、第一回口頭弁論が、6月18日、さいたま地裁(脇 由紀裁判長)で行われました。

開廷前から傍聴券を求める長い列が出来、満席の傍聴者が注視するなか、まず原告の意見陳述が行われました。
原告男性は「今回の原発事故によって,私たちは,何気ない日常を一瞬にして滅茶苦茶にされました。もう,どうやっても元通りにはなりません。国や東電は,どう責任を取ってくれるのでしょうか。」
「国も東電も,避難者の大変な被害について,きちんと責任を認めてほしいです。そして,一旦事故が起きたら,こんなにひどい事になってしまうのだと,真剣に反省するべきです。私は,現在も避難生活を強制されて,それに対して国や東電が十分に責任を取っていないことが,悔しくて仕方ありません。」
と、静かな口調のなかに強い憤りをこめて語られました。

続く原告代理人弁護士の意見陳述では、本件訴訟についての弁護団の基本方針を述べ、「本件は、国及び東京電力の本件事故に対する法的責任を明らかにし、被害者への十分な賠償を行うよう求める裁判であり、同時に、今後同じような事故を二度と起こさないための裁判」であることを、明確に訴えました。

代理人弁護士は、さらに国側の答弁書について、1)国側は訴状に記載された内容の記載が、国会事故調や政府事故調の報告書にあるという事実を認めるだけで、その記載されている内容について認否をしていない。2)訴状における原告の主張のうち、国が「否認する」部分について、一方的に否認するだけで、否認の理由を述べていない、とその不誠実な態度を批判し、きちんと答弁するよう求釈明を行いました。
国側代理人は書面の提出期日を決めることさえも渋りましたが、裁判長に促されて、やっと次回期日(9月24日・15時)が決まりました。
なお、訴状における原告らの請求について、被告らはいずれも棄却を求めています。

現在、同様の損害賠償請求訴訟が、全国20都道府県で行われていますが、どの訴訟でも、原告に言わせるだけ言わせて、ずるずると引き延ばす被告側の姿勢が目立つそうです。
後出しジャンケンを食らわぬよう、早めに被告側を土俵に引きずり出すべく、弁護団は戦略を練っています。

閉廷後、15時から近埼玉弁護士会館で報告集会が開かれました。
法廷では意見陳述されなかった原告のお話や、弁護団からの補足説明、質疑応答などで、裁判に対する理解が深まりました。連携体制をとっている山形、新潟、群馬の弁護団からも、各地の取り組みについて報告がありました。

報告集会に続いて原告・弁護団を支援する「福島原発さいたま訴訟を支援する会(略称:福彩支援)」の結成集会が開かれました。
これまで「準備会」として活動してきましたが、役員、規約が満場一致で承認され、正式に「会」としてスタートする運びとなりました。

呼びかけ人のひとりで、傍聴から参加くださった井戸川克隆さんから「事故は起こるべくして起こった」と国と東電への怒り、被害者の苦境を訴えるご挨拶をいただき、「福島原発かながわ訴訟を支援する会(略称:ふくかな)」事務局長・原告団長も駆けつけて下さって、連携の呼びかけがありました。

次回期日は、9月24日(水)15時から、となりました。被告側が訴状に対する認否をおこなう重要な期日です。
次回もまた、傍聴席を満席にしましょう。ぜひご支援をお願いします。

報告者:桂川潤(「福島原発さいたま訴訟を支援する会」事務局、ブックデザイナー)

【6月18日(水)】原発事故責任追及 埼玉訴訟 報告集会及び個別相談会実施のご案内

原発事故責任追及訴訟埼玉弁護団は平成26年3月10日、さいたま地方裁判所に対して、国と東京電力を被告とする損害賠償請求訴訟を提起しました。

私たち弁護団員は、この訴訟が、全国にいる本件事故の被害者に対する救済と、国や電気事業者が推し進めようとする安易な原子力政策を見直す契機になればと考え、勝訴に向けて一丸となって進んでいくことを決意しています。

また今後も、避難区域内外を問わず、第2次提訴を行っていく予定です。

この訴訟の報告集会、及びこの訴訟を応援してくださっている市民の皆様による「福島原発さいたま訴訟を支援する会」の結成集会の後、当弁護団は、原発事故の損害賠償に関する個別相談会を実施します。

訴訟に興味のある方、損害賠償手続でお困りの方は、是非ご参加下さい。

《原発事故責任追及埼玉訴訟 第1回口頭弁論》

日時:平成26年6月18日(水)午後2時
場所:さいたま地方裁判所101号法廷

《原発事故責任追及埼玉訴訟 報告集会》
日時:平成26年6月18日(水)午後3時頃~
場所:埼玉弁護士会館

《「福島原発さいたま訴訟を支援する会」結成集会》
日時:平成26年6月18日(水)午後4時頃~
場所:埼玉弁護士会館

《原発事故損害賠償 個別相談会》
日時:平成26年6月18日(水)午後6時頃~
場所:埼玉総合法律事務所
*会場が異なりますのでご注意ください

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◆お問い合わせ・参加申し込み窓口

原発事故責任追及訴訟埼玉弁護団 事務局
吉廣慶子(みさと法律事務所〒341-0024
埼玉県三郷市三郷1丁目13−12 MTビル 2F ‎
tel:048-960-0591 fax:048-960-0592

報告集会、個別相談会に出席をご希望の方は、下記チラシをダウンロード/印刷の上、必要事項をFAXでお送りいただくか、あるいは電話でお申込下さい。

案内チラシ:事故責任追及 埼玉訴訟 報告集会及び個別相談会(PDFファイル:203KB)

*お電話でお申込みの場合、下記についてお知らせください。

  1. 原発事故責任追及埼玉訴訟 報告集会へのご参加のご希望の有無
  2. 原発事故損害賠償 個別相談会へのご参加のご希望の有無
  3. 氏名
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